2025年4月25日 公開
APB(株)|福井県越前市
【業種】 全樹脂電池製造
【倒産形態】 破産手続開始決定
【負債総額】 34億8,500万円
特別情報名古屋版(R6.10.30他)で既報。4月23日に福井地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人には寺田昇市弁護士(えちぜん法律事務所、福井県越前市新町9-10-4、TEL 0778-42-5868)が選任された。負債総額は債権者200名に対し34億8,500万円。
日産自動車(株)の技術者で車載電池の開発者の一人である堀江英明氏とベンチャーキャピタルとの合弁で平成30年10月に設立した。堀江氏はリチウムイオン電池の開発に関する研究等に従事する過程で「全樹脂電池」を考案。発火の危険性が極めて少なく、製造コストは10分の1、リサイクルもできるため、次世代電池として世界的に注目された。
当社は大手企業を引受先とする第三者割当増資により88億円の資金調達を行い、令和3年5月には現本社所在地に「福井センター武生工場」を開設。さらに、投資ファンドからの出資を得るなど、大規模量産化に向けて資金調達を進めていた。
しかし、技術的な問題が散発して事業計画どおりに進まず、設立当初から大幅な赤字が続いていた。こうしたところ、令和4年には筆頭株主であった三洋化成工業(株)(東証プライム上場、京都市東山区、樋口章憲代表)が株式を売却し、半導体の設計・開発やデジタルインフラ事業を手がける(株)TRIPLE-1(福岡市博多区、山口拓也代表)が筆頭株主となった。令和6年6月には堀江氏が代表取締役を解任され、(株)TRIPLE-1取締役の大島麿礼氏が代表に就任するなど経営権をめぐる対立が表面化し、動向が注目されていた。
令和6年11月には、当社株主で北國銀行グループの(株)QRインベストメント(金沢市)から東京地裁へ会社更生手続開始を申し立てられ、更生手続きを進めながら事業継続を模索する計画であったが、新エネルギー・産業技術総合開発機構が支援継続を停止。再建の前提となるDIPファイナンスの調達が困難となり、11月21日に申し立ては取り下げられていた。
令和7年2月には全従業員に対し退職勧奨が行われ、4月末までの休業を告知していた。翌3月には税金の滞納により企業立地促進補助金の交付決定が取り消され、交付金約5億円の返還命令を受けていたところ、事業継続を断念し、今回の措置となった。
法人番号 | 3010401141785 |
業種 | 全樹脂電池製造 |
倒産形態 | 破産手続開始決定 |
所在地 | 福井県越前市庄田町31-1-5 |
設立 | 平成30年10月 |
代表者 | 大島麿礼 |
資本金 | 1億円 |
負債総額 | 34億8,500万円 |