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2024年12月11日 公開

東証プライム上場の建設コンサルN社~連結子会社2社による不正|特別情報

連結子会社で長年行われてきた不正の実態が11月26日に公表された特別調査委員会による調査報告書によって明るみになった。当社は令和3年10月にX社の株式移転により設立された持株会社で、傘下にX社とY社をはじめ、連結子会社12社、非連結子会社12社並びに関連会社12社でグループを形成する。中でもX社は明石海峡大橋や瀬戸大橋、レインボーブリッジなど国内を代表する橋梁を手がけ、世界的にも豊富な実績を持つ。そのX社で不正が発覚した。調査の対象期間は平成30年9月期以降としているが、報告書では不正はそれ以前から行われていた可能性も指摘している。調査委員会は不正の手法について、①外注費の付け替え、②人工(人件費)の付け替え、③売上の先行計上の3つに大別している。X社では案件を受注すると業務委託契約が計画され、業務の委託予定先の他、発注項目、実行予算等が組まれ、その中で原価率も設定(設定原価率)される。案件が進行すると設定原価率から乖離する案件も少なくなく、「原価率の厳しい案件」から「原価率に余裕がある案件」に外注費を付け替える(①)。付け替えには外注先の協力が必要であり、承諾を得た上で委託費を翌期以降の別案件で支払っていた。委託先では報酬が支払われさえすればよいとの考えから依頼に応じていたという。逆に「原価率に余裕がある案件」については翌期に持ち越すこともあった。なお、外注先に協力を求めなくても社内のシステムの入力調整で外注費を付け替えることも可能であった。原価率の調整には従業員の日報を改ざんすることで、「原価率の厳しい案件」から「原価率に余裕がある案件」に人工を付け替えていた(②)。原価率の悪化に伴って事後的に改ざんする方法だが、中には原価率の悪化を予想し、あらかじめ実態と異なる日報を入力しているケースもあった。令和4年9月期に売上の計上基準を工事進行基準に変更しているが、売上の先行計上(③)はこれに伴って行われるようになったもので、外注先の協力を得て先行発注し、支払い義務のない中間金を支払うことで売上の前倒し計上が行われていた。以上はX社で行われていた不正であるが、不正を行っていたのは特定の部署ではなく、全4事業本部の下にある部署の各部長が主導し、そのなかでも主力事業である構造事業本部では全国にあるすべての構造技術部で行われていた。一方、X社ほどではないようだが、Y社においても、全国に7つある支社のうち、中部を除く6支社で外注費や経費、人工の付け替えが行われていた。X社には原価率が一定の割合を超えると稟議書を提出しなければならない義務がある。原価率の悪化は人事評価や部署の給与・ボーナスに影響し、稟議書に関しても作成や・・・

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