2024年11月13日 公開
東証プライム上場の継手メーカーJ社~子会社で棚卸資産の水増し計上|特別情報
11月1日付で公表した特別調査委員会の調査報告書で、連結子会社であるX社において多額の棚卸資産を過大計上していた実態が明らかとなった。配管の簡易接続器具である迅速流体継手の最大手で、自動車や電気製品、半導体などの製造工場をはじめ、近年では燃料電池自動車などの輸送機器等でも使われている。一方、X社は昭和52年に当社の製造工場として事業を開始し、平成12年5月に当社の100%出資で法人化している。現在では迅速流体継手のほか、リニアモータ駆動コンプレッサなども手掛けている。X社における棚卸資産の過大計上は令和2年3月期から始まった。管理部総務課に所属する経理担当の係長が1年11月の月次処理をしていたところ、外注仕掛品の金額が急減しており、これを自身のミスと誤認して独断で過大計上した。誤認に気づいてからも訂正はせず、当初は同社が大きな利益を上げた際に解消できると軽く見ていたが、実際は業績低迷が続き、経常利益率を維持するために過大計上は繰り返されていった。外注仕掛品に始まった改ざんは、材料及び部品の単価調整、組立仕掛品における在庫金額をかさ上げなど、不正の手口は広がっていった。これらの不正を可能にしたのは、同氏に基幹システムなどを取り扱う最高位の管理者権限が与えられ、データやプログラムの修正などを容易に実行できたうえ、上長によるチェックもなかったためだ。また、発覚が遅れたのは異常値として調査が行われない程度に過大計上を抑えていたためだ。こうして棚卸資産は令和4年6月の13億36百万円から5年3月に15億94百万円、さらに同年6月には18億19百万円と急増した。そして、当社は今年7月23日に係長とその上長らを呼び出し、状況説明をする会議が予定されていたが、当の係長が雲隠れしてしまい、のちに係長の家族から事情を聴くこととなった。調査報告書によると、6年6月末における同社の棚卸資産の過大計上額は・・・
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