2024年5月8日 公開
東証プライム上場の店舗企画設計施工会社D社~社長の不正で決算発表は6月に|特別情報
見積書の改ざんの発覚に端を発した原価の付替えは昨年7月に特別調査委員会が発表した調査報告書(訂正版は10月)に詳細が記載されているが、新たにX社長による交際費等の不適切な処理や長期売掛金の回収に関する不適切行為が発覚し、4月16日に調査報告書が公表された。昨年公表された調査報告書では調査対象期間を令和4年1月から5年6月までの約1年6カ月に限定し、8件の「借金・付け替え」、売上の過大・前倒し計上、瑕疵工事における原価の先送りなどを例に挙げているが氷山の一角にすぎず、不正行為が社内にまん延していたことがうかがえる。ここでいう「借金」とは発注金額の一部の減額を要請し、将来の他の案件で減額分を支払うことを約束するもので、実際に発生した原価よりも過少に計上されるため、会計上は簿外債務が生じる。当社の場合、目標となる工事利益率などが達成されないと未達報告書を作成しなければならず、最終決裁者の社長に事情を説明したからといってスムーズに検収承認を得られるとは限らない。そのため、不正行為に走る従業員も多い。ちなみに着工後の借金・付け替えは下請代金に変更が生じるものであり、新たに書面を交わさないと建設業法に抵触する可能性がある。また、当社では一定金額未満の取引には注文書・確認書のやり取りが不要で、見積書をもって発注書の代わりとする社内ルールがあるが、建設業法では金額の多寡にかかわらず発注書が必要で、調査報告書では当社の社内ルールは法律違反であると断じている。X社長の交際費等については1年12月期から5年12月期までの期間に支出した交際費6億36百万円、旅費交通費70百万円、計7億06百万円が対象で、このうち3億34百万円を不適切な経費と認定した。きっかけは東京国税局による税務調査によるもので、「帳簿書類への虚偽記載」は重加算税の課税対象となる疑いがあると指摘された。実は3~4年前に行われた税務調査でも交際費等の不適切な会計処理を指摘されており、その時の教訓がまったく生かされてなかった。当社では交際費の上限規定がなく、どのような性質の費用であれば交際費と認めるかといった基準もない。役員、従業員に対する決裁権者は社長であるが、社長については社長自身が決裁するため、ガバナンスが全く働いていない。実際、社長一人で店舗に訪れているのに5社を接待したと偽ったり、出張旅費の名目で家族の宿泊代が支払われたり、酒や宝飾品、衣料品などを購入していた。長期売掛金の未回収については社長の知人から紹介された案件が問題となった。総額58億円になる大型案件だったが、利益がほとんど出ないにもかかわらず、社長マターとして取締役会も承認した。ところが紹介された企業の支払い能力に難があるため、銀行融資にあたって当社が実態に反する合意書面や報告書を作成して提出させたり、別の業者を間に入れて回収を進めたりしている。回収条件も・・・
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