2022年9月7日 公開
東証プライムのオフィス飲料サービスB社~不正会計でMBOによる上場廃止を選択
米国の連結子会社で不正会計をきっかけにガバナンス体制の問題が露呈し、早期による改善が見込めないとしてMBOによる上場廃止を選択した。おもに日本と米国で事業展開しており、業績は比較的順調に推移してきたが、令和3年3月期は新型コロナの影響で売上高は前期比35.8%減となり、22億円の最終赤字を余儀なくされた。翌4年3月期は日本市場での回復が目覚ましく、売上高・利益とも過去最高を記録した半面、米国市場では2期連続赤字となった。不正会計の舞台となったのは米国子会社のX社で、4年3月期の決算発表直前になって減損損失を計上することとなり、6月10日に発表された決算短信で5億83百万円の減損損失を計上した。しかし、監査法人の指摘で同社の固定資産管理システムと会計システムの間で数字が一致していないことが判明し、有価証券報告書の提出を8月31日まで再延期することとなった。両システムの不一致の原因は固定資産残高の突合せ作業が行われていなかったことに加え、顧客先に貸し出しているコーヒーブリューワーや浄水サーバーの台数管理が一部拠点で行われていなかったこと、これらの差異を3年3月期以前から把握しながら当社や監査法人に報告しなかったことなどで、ずさんな会計処理がなされていたことが判明した。こうした事態を受け、8月4日付で創業者であるY氏は代表取締役社長から代表取締役会長へ異動し、長男のZ氏が取締役副社長から代表取締役社長に昇格した。Z氏の社長就任の理由として海外経験の豊富さを挙げているが、X社の前身であるカリフォルニア支社の支社長を平成8年から務め、11年の法人化以降も社長職を続けており、本来なら不正会計の責任を問われてしかるべきである。8月31日に提出された有価証券報告書で監査法人は限定付適正意見を表明するにとどまり、また、5年3月期第1四半期報告書を9月14日までに提出できなければ上場廃止になることになった。MBOについては不正会計が指摘された今年5月頃には・・・
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