2022年6月29日 公開
札証上場の電気工事業者L社~資金繰りが悪化|特別情報
不正会計発覚などを受けて資金繰りが急速に悪化し、決算短信に継続企業の前提に関する疑義を注記している。当社の前身は明治40年に東京で設立したX社で、戦後の電力再編成に伴い、同社の北海道支社を継承して当社が設立された。昭和30年に総合電機Y社の資本参加を受けて同社の持分法適用関連会社になり、歴代社長はY社出身者が占めてきた。不正会計はZ常務(当時)の独断で行われたもので、岐阜県と岩手県の太陽光発電所の建設を巡って16億円以上にも及ぶ損失を原価の付替えで隠してきた。Y社などからの出向者で役員が占められている中、唯一生え抜きのZ常務は社内で「Z商店」と言われるほどの権力を持ち、それを抑制するガバナンスが機能していなかった。Z氏は令和3年3月期に自らが関わった小型発電事業で22億円もの損失を出して辞任しているが、その直後に太陽光発電事業の付替え問題が発覚する。4年3月期の業績は、見積もりの甘さから多額の工事損失引当金の計上を強いられ、粗利段階で16億円の赤字となり、27億円の最終赤字となった。これが資金繰り悪化の直接の原因であり、不正会計の発覚でさらに当社への信頼感が揺らぐことになる。3年3月末は無借金であったが、4年3月末には有利子負債が37億円に膨らんでいる。一方、現預金は24億円から14億円へ減少しており、差し引き47億円もの資金が流出したことになる。期末借入金の調達先は全額・・・
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