2021年12月1日 公開
東証1部のネットセキュリティサービスD社~子会社で粉飾決算|特別情報
買収した子会社で粉飾決算が発覚したが、当社も子会社化する過程でしっかりとしたデューデリジェンスを行っておらず、ガバナンス体制が厳しく問われそうである。平成9年11月にホームページの作成及びプロバイダーとして大阪で創業し、15年4月にネット上の監視サービスを提供するインターネットセキュリティ事業に進出した。18年10月に本社を東京に移転し、22年12月に東証マザーズに上場、28年9月には1部に市場替えしている。業績は右肩上がりとなっているが、積極的なM&Aで事業規模を拡大してきた点も見逃せない。問題となったのは令和1年8月に子会社化したセキュリティ製品開発・販売のX社で、翌年10月に完全子会社にしている。しかし、X社の経営の主導権は実質創業者であるY氏が握ったままで、当社がX社の経営に関与することはほとんどなかった。X社には日常的に取引の入出金を行う口座と、大口の資金を管理する口座の2つがあり、Y氏以外は誰も触れない状態にあった。粉飾決算の調査対象となった平成31年1月1日から令和3年9月30日までにX社とY氏の個人口座もしくは個人会社の口座に100回程度の入出金があり、36百万円もの資金が不正に流出していた。また、3年2月にX社の資金繰りが悪化すると、8月までの半年間にファクタリング会社と延べ12回の取引をし、計38百万円もの手数料が支払われていたことも発覚した。中にはファクタリング会社からY氏の個人口座に振り込まれていたケースも見受けられた。帳簿上の預金残高と実際の預金残高が大きく乖離するようになると、帳尻合わせのために架空売上や架空原価を計上するようになる。架空売上は実際に取引がある先の名義で契約書、作業報告書、請求書を偽造し、入金は2つある口座の一つからもう一つへ取引先の名義を使って振り込ませる。架空原価も同じ手口で、実態のない原価取引を帳簿に計上することで実際の残高との差を埋めていく。ただ1度だけ、実際に取引がある仕入先を使い、キックバック方式で資金を還元させた事例があったが、基本的にはY氏自ら書類の偽造等を行っていた。当社の完全子会社となってからもこの有様であったが、今年7月に当社の完全子会社であるZ社を存続会社としてX社が10月をもって合併するとの発表後は発覚を恐れたY氏と急に連絡が取りにくくなり、一連の粉飾決算が発覚することとなった。Y氏は8月6日付で解任され、不正金額は・・・
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