2020年7月15日 公開
東証1部のプラスチック製品製造O社~痛み分けの役員人事|特別情報
ベトナム税関局職員への贈賄事件で揺れる当社だが、会社側とX元名誉会長の双方が取締役候補を擁立した定時株主総会が6月26日に行われた。会社側はY会長の子息で将来の社長候補とされるZ常務及びU取締役の再任と新任6名を取締役候補とし、対立するX元名誉会長は同氏に近いとみられる執行役員8名を擁立した。Y会長とV社長は事実上の引責辞任となり、X元名誉会長の子息で、やはり将来の社長候補と目されるW専務も辞任することとなった。結果は会社提案8名のうち、Z常務とU取締役及び中国現地法人の董事長・総経理を務める人物の3名が否決され、5名が可決された。否決された3名は贈賄事件に対して黙認や隠ぺい工作をしていたとして当社の監査等委員会が反対していた人物である。3名が否決されたことは株主による良識ある判断がされたといえるが、いずれも43~44%の賛成票を得ており、Z氏とU氏はそれぞれ常務執行役員、執行役員として要職に残ることとなった。また、V社長の後任には同氏の下で国内営業を担ってきた人物が就任するなど、取締役の人事では会社側に軍配が上がった。一方、X元名誉会長側が提案した8名は全員否決されたものの、このうちの6名は40%以上の賛成票を得ており、一定の理解を得られた格好となった。この結果は執行役員の人事にも反映され、否決された8名のうちの6名が執行役員に再任されるなど、X元名誉会長も一定の影響力を残すこととなった。X元名誉会長はY前会長の叔父にあたる人物で、同じ創業家出身。平成17年にX氏が社長を退いた際、次期社長はY氏とみられていたが、X氏は後任に銀行出身者を指名し、以後も創業家以外の社長が続いてきたことにY氏は少なからぬ反感を持っているようだ。また、X氏はすでに隠居の身でありながら、役員人事や役員報酬ばかりか、取締役会の議案まで口出しすることもあり、問題視されていた。X氏はY氏側とされるV前社長を何度となく退任に追い込もうと画策し、贈賄事件をきっかけに思い切った人事の刷新を仕掛けてきた。結果は前述の通り、取締役会はY氏側が掌握したものの、執行役員は8名のうち6名をX氏側の人物が占めるなど、両者痛み分けの格好となった。贈賄事件に対する第三者委員会の調査報告書では…
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