2017年10月2日 公開
(株)日商|仙台市青葉区
【業種】 港湾土木
【倒産形態】 破産手続開始申立準備
【負債総額】 38億円内外
US情報仙台版(H29.1.31)および特別情報仙台版(H29.8.23)で既報の同社は、10月2日付で事業を停止し、事後処理を中野 竜河弁護士(シチズンシップ法律事務所、仙台市青葉区一番町1-16-23 一番町スクエア6階A、TEL 022-796-7647)、岩渕 健彦弁護士(エール法律事務所、仙台市青葉区一番町2-10-26 旭コーポラス一番町A棟2階205号室、TEL 022-227-6167)他2名に一任した。なお、本日付で破産手続開始を申し立てると聞かれ、負債総額は精査中だが38億円内外が見込まれている。
代表は(株)熱海造園(現・熱海造園土木(株)、仙台市泉区)の社長の息子にあたるが、経営を巡って父と意見の相違があったとして(株)熱海造園取締役を退任し、平成23年6月に山一商事(株)(岐阜県高山市)がスポンサーになって(株)日商を設立した。当初は山一商事(株)からの出資もあったようで、山一商事(株)の代表も(株)日商の役員となっていたが、平成23年9月以降増資を行い、現在では代表者が100%株式を保有したオーナー形式へ変化し、6月には山一商事(株)代表および現代表者の妻も役員を辞任して、現在の役員は代表と古参社員の2名体制となっている。また、(株)日商100%子会社で、砕石などの運送業務を行う(株)日商運輸(宮城県宮城郡利府町)があり、この他、出資面の関係はないものの代表が役員に就任している関係会社が数社ある。
本社の他、宮城県の石巻市、気仙沼市、伊具郡丸森町に工事事務所を置き(実質は作業員宿舎)、宮城県宮城郡利府町にモータープールを構えての営業展開で、基本的に港湾土木を主体としていることで、本社を除き拠点は太平洋側の沿岸部および沿岸部近くで、現場は岩手県から福島県北部に集中している。また、売り上げの10%程度は砕石などの製造販売が占めており、砕石採取は丸森町内で行っている。
復興特需に乗り積極的に重機・車両などの設備投資を進めたことも奏功して業容は拡大し、設立間もない平成24年8月期の売り上げは2億円内外だったが、近年では20億円内外と5年間で10倍近く伸長し黒字決算を継続している。この要因として下請け港湾土木業者自体が珍しく競合が少ないことが挙げられるが、競合が少ない理由は天災による工事延期が頻発することで資金繰りが厳しくなりやすいためと言われている。実際に平成28年8月から平成28年10月にかけて台風が頻発したことで、工事が延期となって回収の遅れにつながり資金繰りを圧迫していた。
8月末の決済については、9月20日までのジャンプ要請を取引先に行ったが結果的に支払いは出来ず、9月25日の固定費支払いも危ぶまれる中で、10月2日の手形決済が山場と見られていた。現社長は先週より資金集めに奔走したが、うまくいかず破産の道を選び、代表者や関連会社も同時に破産となる見通し。
以前の取材では、平成29年8月期末時点で40億円近い受注見込みがあり、平成30年8月期も50%増の売り上げとなる30億円内外が見込まれ、経常利益ベースで3億円の目標となっていた。あと1年間なんとか走りきれれば、最終的にプラスとなる見込みもあったようだが、平成28年に行った設備投資のタイミングが天災による工事延期の時期と重なり、結果的にこれが倒産の引き金を引いた形となった。
業種 | 港湾土木 |
倒産形態 | 破産手続開始申立準備 |
所在地 | 仙台市青葉区木町17-15 |
設立 | 平成23年6月 |
従業員 | 120名 |
代表者 | 熱海 宏憲 |
資本金 | 4,500万円 |
年商 | 19億円内外(29/8) |
負債総額 | 38億円内外 |
特別情報掲載
特別情報本文に掲載された日付です。
2017年08月23日
特別情報とは
「倒産してからでは遅い」という声をよく聞きます。
たしかに与信管理や審査では事前の兆候について社内外からの幅広い情報収集は不可欠ですが、現実にはなかなか容易ではありません。
実は小社の「特別情報」は、独自の取材ルートと確かな実績で長年にわたり金融機関・総合商社をはじめとする審査のプロたちから一目置かれています。
審査マンの心強いパートナーとして、「特別情報」のご活用をお勧めします。
詳しくはお気軽にお問合せください。