2017年7月6日 公開
青森駅前再開発ビル(株)|青森市
【業種】 複合総合施設運営
【倒産形態】 特別清算手続開始申立
【負債総額】 32億0,790万円内外
事後処理を代表清算人でもある鈴木 規央弁護士(シティユーワ法律事務所、東京都千代田区丸の内2-2-2、TEL 03-6212-5500)に一任した後、7月5日に青森地裁へ特別清算手続開始申立を行った。負債総額は32億0,790万円内外が見込まれている。
空洞化が進む青森駅前地区の再開発を目的に、青森市が36.6%出資する形で、第三セクター方式で設立した。平成13年1月、青森駅前に総事業費184億6,000万円内外をかけて、地上9階、地下1階の複合商業施設「フェスティバルシティ・アウガ」をオープン。同社は地下1階から4階までを区分所有として青森市より買い取った。
設立当初、地下1階には「駅前市場」と銘打った「新鮮市場」があり複数のテナントが入居、1階から4階までは商業施設、5階と6階が「青森市男女共同参画プラザ・カダール」、6階から9階が「青森市民図書館」の構成となっていた。駅前を中心としたコンパクトシティのモデルケースとして注目を集め、全国で初めて改正中心市街地活性化法の認定を受け、平成18年には年間636万人の来場者数を記録した。また、青森市営施設の受託・管理も手掛けていたことでここからの収入もあり、平成21年2月期には7億円超の売り上げを計上していた。
これまでにない程の駅前地区への集客があり成功したかに見えたが、元々自家用車を利用する土地柄でもあり、競合先となった郊外型の商業施設に押される形で来客数は減少。収益面では計画通りにいかず、初年度の平成14年2月期から2億円を超える赤字となり、回復も見られず負債額は雪ダルマ式に増加していた。
その解消を目的に、平成22年2月期中には青森市が5億6,000万円内外の増資を引き受け(出資比率は63.7%へ増加)。更に2億円を融資するなど資金注入を行ったことで一息ついた。
しかし、平成22年12月に青森新幹線開業により、新青森駅が開業したことも逆風となり業況が悪化。平成28年3月期(平成24年より決算月変更)の売上高は5億円を下回り、減損会計による特別損失の計上もあって、26億8,898万円の赤字となり、一気に債務超過へ転落した。
この状況から事業継続は困難として、平成28年10月3日付の取締役会で解散を決定した。平成28年10月には、この責任を取る形で当時の鹿内 博市長が辞職し、平成28年11月に市長に就任した小野寺 晃彦氏は、1月31日に17億5,000万円内外の債権を放棄する方針を示した。
建物内のテナントに対しては、営業保証金および預かり金の全額返済を条件に建物からの退店を打診し、テナント側がこれを承諾。2月28日には1階から4階のショッピングフロアの全店を閉鎖。3月31日までに全テナントが退店した。
また、地権者に対しても床の賃貸借契約について合意を得たことから、同社は3月31日の株主総会の決議により解散するとともに、同社の目的を会社清算のみとし、特別清算手続開始申立の準備を進めていた。
業種 | 複合総合施設運営 |
倒産形態 | 特別清算手続開始申立 |
所在地 | 青森市新町1-3-7 フェスティバルシティ「AugA」2階 |
設立 | 平成4年4月 |
代表者 | 代表清算人 鈴木 規央 |
資本金 | 10億3,000万円 |
年商 | 4億9,457万円(28/3) |
負債総額 | 32億0,790万円内外 |