2022年3月2日 公開
東証1部の飲食チェーンP社~助成金収入で黒字転換か|特別情報
令和4年3月期も新型コロナウイルスの影響で業績の改善はみられないが、巨額の助成金収入により辛うじて黒字になりそうである。全国展開する居酒屋チェーンを運営し、26のブランドで180店舗の直営店を展開するほか、ライセンス契約している組合が28店舗を運営している。また、地鶏や鮮魚等の食材を生産から流通、外食店舗での販売まで一貫して手がける「生販直結モデル」が特徴で、宮崎県や鹿児島県で関係会社が複数の養鶏場などを運営している。自前で生産する地鶏料理が人気を呼んで売上は右肩上がりで伸びてきたが、100店舗を超えたあたりから「地鶏専門店」から「総合居酒屋」というイメージが持たれるようになり、売上も平成29年3月期をピークに下降線をたどる。さらに一部の商品でブロイラーを使用しているにもかかわらず地鶏を使用しているかのような表示をしていたとして、30年3月に消費者庁より景品表示法違反で9百万円の課徴金納付命令を受けた。この違反行為がイメージダウンに追い打ちをかけ、翌31年3月期は不採算店舗の整理などで13億円の減損処理もあって20億円の最終赤字となった。令和2年3月期は構造改革が奏功したものの、3年3月期に入ると期初から新型コロナウイルスの影響を受け、9月中間期で24億円の赤字を計上して8億円の債務超過となり、同期からゴーイングコンサーンの重要事象等が記載されるようになった。X社長自らも10億円を出資するなど、3年2月と3月に計24億円の増資を実施して債務超過を解消したものの、3年3月期末時点の自己資本はわずか4億円にすぎなかった。4年3月期に入っても第3四半期(3年4-12月)の売上は前年同期比18.8%減の59億円にとどまり、営業赤字は23億円となった(前年同期は25億円の赤字)。しかし、雇用調整助成金や時短協力金等で43億円もの助成金収入があり、最終は5億円の黒字(同28億円の赤字)になった。本業の業績はなかなか改善せず、新規事業としてデリバリー事業への投資を加速させているが、遅きに失した感は否めない。融資枠が19億円残っているとはいえ、借入金82億円は年商に匹敵し、資金負担は増すばかりだ。4年3月期は多額の助成金収入で黒字化が予想されるものの・・・
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