2016年2月29日 公開
(株)シンコー|宮城県石巻市
【業種】 水産物加工販売
【倒産形態】 民事再生手続開始申立
【負債総額】 37億円内外
平成25年11月、グループ補助金の不正受給により、宮城県より刑事告訴(その後取り下げ)されていた当社は、2月26日に仙台地裁へ民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は及川 毅弁護士(弁護士法人及川毅法律事務所、宮城県登米市迫町佐沼中江4-1-1、TEL 0220-44-4220)、監督委員には佐藤 美砂弁護士(ひかり法律事務所、仙台市青葉区一番町1-17-24、TEL 022-262-6118)が選任され、負債総額は債権者80名内外に対し37億円内外が見込まれている。
昭和62年7月に創設した水産加工及び販売業者で、多種多様な水産物を取り扱うとともに自社での加工を行い、ピーク時には18億円内外の売り上げを計上していた。
しかし、震災前に景況悪化による業績不調により売り上げが低下し、東日本大震災では津波による被害で6億円近い災害損失を計上したことで債務超過に転落。再生すべく、国や宮城県から最高で復旧費の4分の3の補助を受ける「グループ補助金」を活用することで、平成25年1月に30億円近い費用をかけて本社及び工場を復旧。更に、石巻市の避難地域にもなっていた宮城県登米市にも豊里工場を新設するなどして生産能力の拡大を行い再生を図った。
ところが、本社及び工場復旧直後の平成25年11月に、匿名での通報から行われた宮城県の調査によって、グループ補助金の不正受給が発覚。当社側はこれを否定したものの、宮城県より不正需給分の返還を求められるとともに、補助金適正化法違反の疑いで当社と代表が刑事告訴され、宮城県より平成25年11月に1億3,000万円内外、平成26年3月に6億2,000万円内外の返還命令を受けたが、返済期日までに返還が出来ず、宮城県との協議は続いていた。
それでも、当社側より刑事告訴取り下げ時に、不正受給を認め返還に応じる内容の上申書を受け取ったことで、宮城県では平成27年3月には刑事告訴を取り下げていた。グループ補助金不正受給は全国初ということもあって注目を集め、対外的な信用も失墜。その後も、受注のキャンセルが相次ぎ、一部の取引先への支払いも滞るなど資金繰りが急速に悪化していた。
この状況の中で、売り上げは4億円台とピーク時の2割程度まで減少し、今後の見通しも立たないということで、今回の事態となった。なお、当社側では「不当な刑事告訴により対外的な信用が失墜した」とのコメントを発表。今後も事業を継続予定と見られるが、高額の補助金返済については厳しい対応を迫られる可能性もある。
業種 | 水産物加工販売 |
倒産形態 | 民事再生手続開始申立 |
所在地 | 宮城県石巻市渡波字下榎壇84-3 |
設立 | 昭和62年7月 |
創業 | 昭和62年7月 |
代表者 | 丹野 耕太郎、他1名 |
資本金 | 1億3,150万円 |
年商 | 4億3,700万円内外(27/6) |
負債総額 | 37億円内外 |