2015年11月30日 公開
太平物産(株)、他1社|秋田市
【業種】 肥料製造、農業資材等卸売り
【倒産形態】 民事再生手続開始申立
【負債総額】 34億6,000万円内外(2社合計)
特別情報仙台版(H27.11.6)で既報し、動向が注目されていた当社及び関連会社の日本農芸化学工業(株)(群馬県渋川市川島字下田41-1、藤島 康久代表、資本金3,600万円)は、11月27日までに秋田地裁へ民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は粟澤 方智弁護士(奥野総合法律事務所・外国法共同事業、東京都中央区京橋1-2-5、TEL 03-3274-3805)他1名で、負債総額は、当社が33億円内外、日本農芸化学工業(株)が1億6,000万円内外、2社合計で34億6,000万円内外が見込まれている。
同業者間では東北でも古参大手に位置し、同業大手の100%子会社として設立。その後、当社と関係が深かった三菱グループが中心となり、戦後再興した。この関係から、三菱系数社で出資の半分以上を占め、同グループの三菱マテリアル(株)の関連会社となり、昭和25年に肥料統制が撤廃されたことで各種肥料の販売を開始、昭和31年5月に現商号へ変更した。
肥料の製造販売を主力事業としていた他、農業資材や化学工業用品、工事資材も取り扱い、北海道から北関東まで営業拠点を置き、秋田、青森、茨城、群馬の4工場で肥料を製造。当初より仕販両面で大口取引先の全国農業(協)連合会(以下、JA全農)系などを経由し、有機肥料の製造販売を行っていた。また、共通で販売されている肥料の他、販売各県の土壌に合わせた肥料も製造販売していたことで、受注面は堅調で推移、平成3年9月期にはピークとなる108億9,600万円内外の売り上げを計上していた。
平成20年より当社役員持ち株会、同従業員持ち株会が株式を買い取る形となり三菱グループから資本的に独立する形となったが、農業関連の停滞から、震災前には売り上げが60億円台まで減少するなど苦しい展開が続いていた。
それでも、震災後の復興特需などの恩恵もあってか、平成26年3月期までは増収増益で推移し、平成26年3月期には77億円内外の売り上げを計上、復配も行っていた。直近の平成27年3月期も65億7,693万円と減収となったが、最終利益は高額の黒字を確保し、直近までの4期で3億円近い黒字を計上するなど回復の気配も見せていた。
しかし、JA全農の10月上旬に行った調査により、JA全農に納品されている当社製品の肥料のうち93%にあたる678銘柄に関して、記載されていた成分を満たしていないことが判明。農林水産省より出荷停止の行政処分を受けた他、既に出荷された肥料1万tに関しては回収することを発表した。
11月9日に行った記者会見では、およそ10年以上前からコストダウンなどのために偽装を行っていたと社長自らが認めたことで、事態は更に拡大し、この偽装問題により、「有機農産物」や化学肥料を減らした「特別栽培農産物」の栽培に使用されている作物は、事実上前述の表記を行うことが困難となり、売価差額の補償問題なども発生。
偽装事件発覚以降は、営業活動を自粛したことで売り上げがない状況が続き、資金的な問題や、先行きの見通しも立たないこともあって今回の事態となった。
なお、事業は別のスポンサー企業に引き継ぎ、将来的に会社を清算する見通しで、既に複数の企業に打診している模様。
業種 | 肥料製造、農業資材等卸売り |
倒産形態 | 民事再生手続開始申立 |
所在地 | 秋田市卸町3-3-1 |
設立 | 昭和21年9月 |
創業 | 昭和21年9月 |
従業員 | 144名 |
代表者 | 佐々木 勝美 |
資本金 | 3億1,200万円 |
年商 | 65億7,693万円(27/3) |
負債総額 | 34億6,000万円内外(2社合計) |
特別情報掲載
特別情報本文に掲載された日付です。
2015年11月06日
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